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温泉旅館 (31)古い神社

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温泉旅館 (31)古い神社

「…スゴイでしょ、千年以上前からこの地に祀られてるんですよ」
森の木立の緑に埋もれそうな古びた小さな神社を眺めながら、真由が感動したように大きなため息をついた。
「カビ臭い女に、お似合いだわ」
沙紀は、何がそんなにありがたいの、と言いたげに真由に悪態をついていた。

「…どうせ、おバカな女子高生は、ココにどんな神様が祀られてるかも、知らないんでしょ」
憎々しげにこちらを見る沙紀に、バカにしたように真由がつぶやくと
「弁天様よ、そのくらい知ってるよ…」
沙紀はほめてと言わんばかりに私をに抱きついて見上げていた。

「…そうよ、祭神は弁才天、元々仏教の神様だけど、日本に入ってきて神道の神様にもなって神社でも祀られるようになったの、奈良時代の東大寺法華堂にある八臂の立像が最古のモノとされているけど、ココの弁才天は神社に納められたモノとしては、日本最古じゃないかと言われてるのよ」
意外にも弁才天を知っていた沙紀に対抗するつもりなのか、真由は知識をひけらかすように蕩々とまくし立てた。

「…へえっ、こんな寒村にそんなすごいモノがあったんだ」
日本最古という触れ込みに、私は単純に感心していた。
「それが本当なのか調べて、仏教の神である弁才天が日本で神道に祀られるようになった経緯を解明するのが私の研究テーマなんです」
やっと女子大生らしい顔になった真由が、メガネをクイッとあげてニッコリ笑うとあたりを調べ始めた。

「ふ~ん、かしこぶっちゃって…、どうせ、コワレかけの仏像しかないのに…」
沙紀が興味なさそうにつぶやくと
「…アンタ、見たことあるのっ」
真由が血相変えて沙紀の顔をのぞき込んだ。

「ひっ、…、なによっ、私が子供の時だから、もう、ないかもね、それに…」
勢い込んで見つめる真由から目をそらした沙紀が、なにか言いかけた途中で
「…もうないのっ、確かめなきゃっ」
沙紀を突き放すように駆け出した真由はせわしなく本堂の扉を開けていた。

「あっ…」
沙紀の大きな声に
「…、なによ」
蜘蛛の巣だらけの本堂をのぞき込んだ真由が、怪訝そうな顔を向けた。

「…、なんにも…」
弁天様がヤキモチ焼くから、カップルで来たら、絶対ダメって、言われてるけど…、三人だから、大丈夫かな…。
子供の頃からこの神社には近寄るなと言われていた沙紀は、おばあちゃんから言われたことを思いだしたが、真由には何も言わなかった。

温泉旅館 (32) につづく
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