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== 女教師鈴子のルール ==

女教師鈴子のルール (39)屋上で

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女教師鈴子のルール 目次

女教師鈴子のルール (39)屋上で

「朝陽君、もういいから立ちなさい、あなたたちも座って」
軽々に彼の話題を出したのは失敗だったが今は後悔している時ではない。とりあえずこの場を納めて終業式に遅れないことが先決だと思った。私は泣きじゃくる筑紫朝陽を慰めながら、彼を責める遊治と郁夫をたしなめた。

「ごめんなさい、この件は終業式が終わってからちゃんと話します」
朝陽に襲われた件はいったん棚上げした。泣きやんでも顔を上げない朝陽は心配だが「ルール」は秘密厳守が第一条件だ。
「さあ、体育館に行きましょう」
クラス全員で終業式に遅れることになったら学年主任や教頭に理由を説明しなければならない。それで秘密が漏れる恐れだってある。この件は終業式が終わってからでも遅くないと判断した。

終業式は滞りなく終了した。

みんなは秘密厳守を理解してくれている。私が襲われた件で妙な憶測を口することはなかった。しかし朝陽が終始うなだれていたことが気になっていた。

「朝陽君は?」
教室に戻ると朝陽の姿だけがなかった。なんだかイヤな予感がした。
「…、アイツ、トイレ行くのかと思ったけど…、上にあがってたような…」
知らないという声に混じって誰かが上の階に行く朝陽を見たと言った。

「!、ちょっとまってて、絶対に教室から出ちゃだめよ」
不安が的中した。上の階は2年や3年の教室しかない。彼が上の階に行くとしたら理由は一つしかない。私はみんなに教室に残るようにきつく言ってから急いで屋上に向かった。

屋上に出て周りを見渡す。やっぱりいた。朝陽は屋上のフェンスの向こう側に突っ立っていた。
「朝陽君、そんなところで何してるの…」
幸い隣の校舎の反対側なので誰かに見られる心配はない。誰にも見られず…、と考えたのかも知れない。静かに近寄って声を掛けた。
「…、お、おれ…」
不意に声を掛けられて驚いたようだ。動揺した様子で振り返った彼は泣いていた。

「そんなところにいたら、危ないわ…、こっちに来なさい」
今にも彼の姿が消えてしまいそうで怖い。声が震える。泣いてしまいそうだったが平気なフリをした。言葉を選んだつもりなのにありきたりなことしか言えなかった。
「…、お、おれ…、し、死んで…、おっ、お詫びしますっ」
濡れた目で私を見つめた彼はそう言うと背を向けた。

「あっ」
絶望の漂う淋しい背中だった。そんな気持ちで彼に消えて欲しくないと思った。
「待って」
一瞬だった。無意識に飛びついてフェンスの向こうに手を伸ばした。
「行かないでっ」
手を掴んだ。体はもう縁より向こう側にあったが、生への最後の未練のように左手だけがこちら側に残っていた。

「うっ、だ、だめ…、だめよお…」
決して離すまいと両手で強く引くが彼の体重で引っ張られる。腕が痛くて目がくらむ。フェンスが胸に食い込んでボタンが弾けた。汗に濡れた手の平が滑りそうで鼓動がバクバク鳴った。

「は、離して…、くれよおっ、うう…」
手がすり抜けるより先に彼はその場にへたり込んで泣き出した。
「離さないわっ、絶対っ、どうしても飛び降りたいなら、私を道連れにしなさいっ」
考えるより先に叫んでいた。彼が死ぬなら私も一緒だと本気で思って力の抜けた手を強く握りしめた。私も泣いているのにそのとき気付いた。

女教師鈴子のルール (40)につづく
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