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== アベンジャー由紀 ==

アベンジャー由紀 (15)精神的自殺

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アベンジャー由紀 目次

アベンジャー由紀 (15)精神的自殺

優しい子になって欲しい。

これが生前の淑子が由紀に一番願ったことだ。そして淑子の願い通り、由紀は優しい女の子に育った。

淑子がそう由紀に言い聞かせたからではない。淑子自身がそういう人だったからだ。淑子は由紀にも夫にも誰にでも、精一杯の愛情を注いで生きてきた。

優しい母の姿を見て育った由紀は、誰にでも優しい、心の痛みを知る女の子になった。


母譲りの愛にあふれる明るい少女だった由紀は、強姦グループに踏みつけにされて心を穢された以上に、あの少年の死によって癒しきれない深刻な傷を負わされた。

由紀は少年の死を自分のせいだと感じて自問自答し、執拗に自分を責め続けた。あのとき自分がもっと違った対応をしていれば、少年が死ぬコトはなかったと自らに責任を問い続けた。

由紀が同じ悪夢に取り憑かれた原因は、ここにあった。


そして自傷気味な心の傷に悩まされ続けていた由紀に、母の死は決定的だった。母の死は由紀の心を完全に崩壊させ、精神を漆黒な闇に染めてしまった。

少年の死は自業自得と考えればまだ逃げ道があった。しかし交通事故が直接の原因だとしても、看病疲れが淑子を死に追いやったことは明白だった。大好きだった母を自分のせいで死なせたことは、どう取り繕ってもとうてい許されないことだった。

絶望した由紀は精神的自殺をした。自分で心を死よりも深く暗い闇に沈めてしまった。

母の死を知ってから由紀の目からは光が消えた。なにを言ってもうつろに応えるだけで、目を開けていても生きてないのと同じだった。体に全く異常はないが、ほとんど植物状態になっていた。

淑子の愛に甘えてきた安弘に、淑子の代わりはとても出来なかった。由紀は内科病棟から精神科の閉鎖病棟に移された。

閉鎖病棟は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいて、他者に危害を加えるか、自殺の恐れがある、など強制的な入院形態が必要とされる患者のためにある。

ほとんど植物状態で自発的に動くことのない由紀は開放病棟で十分だったが、淑子のような看護など出来ないとあきらめた安弘が世間体を気にして、由紀を見舞い患者から一切遮断することを強く希望したため、病院側も閉鎖病棟への移動を許可した。

アベンジャー由紀 (16)につづく
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