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== みなしごルリイ パパと呼ばないで ==

みなしごルリイ パパと呼ばないで (14)新しい家

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みなしごルリイ パパと呼ばないで 目次

みなしごルリイ パパと呼ばないで (14)新しい家

東高円寺にある某公園の煉瓦造りの正門によく似た自動開閉の門を、ぬめるような煌めきの尾を引いてくぐり抜けた超高級外車は、和洋折衷で節操のない広大な庭園を抜け、大げさすぎる洋風建築の前で止まった。

「ついたぞ、ルリイの新しい家だ」
灯籠やらガス灯風の明かりに照らされた景色を窓からのぞき込んでいたルリイに、日本でも有数の資産家であり実業家の豪徳寺が、車から降りるように促す。

「へ…」
ベルサイユ宮殿って、日本にあったの?…、
月明かりに青白く照らされてそびえ立つ、ギリシャ神殿をバロック様式でアレンジしたような巨大な洋館の前に降り立ったルリイは、
「おっきくて…、そそり立ってる…」
わたし…、ここに、住むの?…。
大きな目をさらに見開き、貧弱な語彙で感嘆し、油断してゆるんだ口元を見せていた。

「旦那様、お帰りなさいませ」
日本の住宅事情を完全に無視した超巨大邸宅にルリイがただただ感心していると、メイドの篠山恵が白メイド姿で出てきて、豪徳寺にうやうやしく頭を下げた。
「ルリイお嬢様、篠山でございます、何なりとお申し付け下さい」
豪徳寺が目配せすると、前もってルリイが来ることを聞いていた恵が、腰のエプロンの前で手を合わせておじぎする。

「は、はいっ…、よろしくお願いします」
この、おネエさん…、
20代半ばに見えるどっちかというとケバいメイクな美女の、萌え系白メイド姿とふわふわペチコートからお尻がのぞけそうな深々したおじぎに、
恥ずかしく、ないのかしら?…。
シレッとした表情を見せるルリイは、心の中で辛辣なセリフを投げかけていた。

「でも、メイドさんがいるなら、シスターは?」
あっ、そうだ…、こんな人がいるなら、シスターが…。
ホンモノのメイドがいるなら、シスターアンジェラの居場所がなくなってしまうと心配したルリイが、豪徳寺を上目遣いに見上げる。
「篠山は食事の世話などをする使用人だ」
不安そうなルリイに豪徳寺は、美少女の体に響くような低い声で応えた。
「シスターには、教育係を兼ねたルリイの母親代わりをしてもらう」
楚々として傍らに立つ修道女をチラ見した大富豪は、なにやら含むような笑いを一瞬見せると、いつものバリトンで改めて彼女の役割を説明した。

「教育係って、ロッテンマイヤーさん!?」
ええっ、シスターが…、
お屋敷の教育係と聞いて、施設で見た某名作アニメの足が不自由な深窓の令嬢と、その教育係を思い浮かべたルリイは
あんなコワイおばさんに!?…。
シスターがあの黒衣の口うるさいオバサンのようになるのかと、おバカな妄想を浮かべて戦慄していた。

「こんなところで立ち話もなんだから、入ろう」
おマヌケな妄想に怖じける愛娘に苦笑した堂々たる紳士は、さっさと宮殿のような大邸宅に入っていった。

「ルリイ、いきましょ」
貧乏施設暮らしに慣れて、あこがれでしかなかったお城のような家に住むという現実感が全くないルリイに、シスターは優しく声をかけて背中を押した。
「うん、シスター…、こわく、ならないでね…」
いまだに名作アニメの妄想から抜け出せないルリイは、優しい笑顔を浮かべるシスターを不安げに見ていた。
「うふふっ、ルリイったら、何言ってるの?」
慣れない環境にいつもの元気な様子を無くしたルリイに、シスターはやっぱり優しく笑いかけていた。

「あ…、えへへっ、ちょっと、緊張してるかも…」
やだ、バカなこと、考えちゃった…、
優しいシスターの笑顔を見ながら、
不安なのは、シスターも同じなのに…。
車中で握ってきた手が震えていたことを思い出したルリイは、
「今晩一緒に寝てもいい?」
でも、シスターと、一緒だもんね…。
その一番近しい人の手を握って軽やかに歩き出し、新しい生活の第一歩を踏み出していた。

みなしごルリイ パパと呼ばないで (15)につづく
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