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真央 (64)沢村?

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真央 (64)沢村?

「どうして来なかったんだい?…、勉強、忙しかった?」
二枚目らしい爽やかな笑いで真央を見つめる沢村が、やんわりと問い詰める。

「あ…、うん、前期試験、やっと、終わったの」
はっきり見えないが、薄暗い部屋の隅に立つ男は沢村のはずだった。しかし男に漂う雰囲気から言葉では言い表せない違和感を覚えて、ますます不安に駆られた真央は男の言葉に合わせて慎重に相づちを打っていた。

「そうだったんだ、じゃあ、また逢えるね」
色男ぶった気取った声で男が近寄ってくる。陰になって黒く塗りつぶされた顔に口角を上げて笑う唇だけが見える。男が近寄るにつれて真央は動悸が激しくなり、恐れともに怒りが湧き上がってくる。

「そうね…」
千々に乱れた気持ちを抑え込んで低い声で応えた真央だったが、陰になった顔に笑った目の鈍い光を見たとき何かがはじけた。
「小耳に挟んだんだけど…、私の名前をつけたセクサロイドがある、って知ってた?」
それまで押さえていた気持ちがあふれ出て、いきなり核心を突いた言葉が口から出た。

「…、そうらしいね」
沢村の顔から笑いが消えて真央をじっと見つめる。緊張感の漂う静寂の後、低く抑揚の無い声が応える。

「私は…、私は…、実験台、だったの?」
落ち着いた低くこもった声が真央の体に響いて、感情の高ぶりが少しは抑えられた真央だったが、それでもどうして聞きたくて、絞り出すような声がかすかに開いた唇から漏れる。語尾がかすれて少し涙声になっていた。

「…、真央ちゃん…、好きだよ」
真央の悲痛な問いかけにまた重苦しい緊張感が漂ったが、沢村の思いつめたような声が静寂を破った。

「うそっ」
はじめて「好き」と言われたときは天にも昇るような高揚感で夢心地になった真央だが、今日の沢村の言葉には無味乾燥な虚しい感じしかしなかった。真央は間髪を入れずに否定して、沢村を涙でにじんだ目で見つめていた。

「どうして、そう思うんだい、私は真央ちゃんが好きなんだ」
言下に否定された沢村はさみしそうな表情を浮かべると、真央にジリジリと近寄って訴えかけるようにつぶやいた。

「うそっ、アナタ、誰なのっ」
手を伸ばせば届きそうな位置に近づいてきた男に真央は思わず叫んでいた。目の前にいる男は沢村にしか見えないし、その声は沢村本人のモノなのだが、幾度も激しく愛されたオンナの本能が違うと否定していた。

真央 (65)につづく
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